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Myビジネス論

by Teppei

少し前のことですが、とある地方都市で行ったワークショップの話し合いでの出来事です。
ここでは、ビジネスロジックの基本を考える、というワークショップを行いました。

買い手の視点と売り手の視点

我々の会社でもそうですが、一度会社に足を踏み入れると消費者の自分の感覚を忘れてしまう人が見受けられます。せっかく消費者として感動したり、後悔したり、時にはお店の人に怒りを感じたりするケースが日常的にあるにも関わらず、いざサービス提供者側に立場が変わると仕事として割り切ってしまうのか、自分がされたら嫌なことを平気に会社都合で行うようになります。

よって、冒頭にこのような問いを投げかけました。

Q. 100円のお茶と80円のお茶があります。同じ味と容量の場合、どちらを買いますか?

回答者がよほどのひれくれ者じゃなければ、80円のお茶を買うと回答されます。
次に、売り手の視点の問いを投げかけます。

Q. もしあなたがお茶の販売者だとして、原価が同じ場合、100円のお茶と80円のお茶とどちらが売れると嬉しいですか?

原価が同じ場合、当然ですが取り分がより貰える100円のお茶が売れると嬉しいはずです。

では、この二つを合わせて物事を考えましょう。

現れる3つ目の選択肢

次に、

Q.あなたがお茶の販売者だとして、先ほどの2つの立場(購入者と販売者)の話を聞いた上で、結局いくらで販売しますか?

と聞きます。

ビジネスマンや商人が混ざっているワークショップでは3つ以上の回答が出る場合がありますが、労働集約型のビジネスモデル(営業会社とかWebデザイナーとか)に従事する方などに話をすると大抵が以下の2つの回答に分けられます。

回答者A

高く売れたほうがいいから100円かな

回答者K

安く買えたほうがいいでしょ。80円じゃない?

大抵の場合、ビジネス上どちらがメリットがあるという話ではなく、どちらの立場からこの話題を見て話をしているか、ということになりがちです。そして、ビジネス上メリットのあるのはどちらか?と重ねて聞くと、100円という回答が増えます。

ここで面白いなって思うのが、目線が全て売価に行ってしまうことです。ビジネスの要となる利益に目が向かない人が多い(あえてそうなるほうがワークショップとしてはやりやすいのですが)。

売り手は商品を高く売りたいわけではなく、手元に残る利益額を高くしたいのが本質なはずです。しかしながら、売価を高くする = 利益が上がるというロジックが頭に沁み込んでいる人が実に多いように思います。その考えに間違いはないのですが、一つ欠落している感覚が見えてきます。

それは、原価を削減すると利益額が増えるという考え方です。

原価を削減は売価コントロールのため

シンプルな話で解説します。ペットボトルのお茶のマーケット平均価格が100円と仮定しましょう。

売り手がハッピーなロジック
100円(売価) - 50円(原価) = 50円(利益)

買い手がハッピーなロジック
80円(売価) - 50円(原価) = 30円 (利益)

みんなハッピーなロジック
80円(売価) - 30円(原価) = 50円(利益)

もちろんこれ以外にも、売価は100円で据え置きにして原価を30円に下げるなど、考え方は幾つかあります。
しかしながら私は、中長期視点でビジネスの永続性を考えた場合、行き着く先は3番目の考え(みんなハッピーなロジック)だと思っています。今まで、数多くの先輩方に原価を削減しろと言われてきました。でも、その本意は利益額増大のためでした。その諸先輩方から、売価を下げてより買いやすくするために、という話を聞いたことがありません。
今私はビジネスを自分の手で手掛ける立場になり、経営者となり、今まで教わってきたことに大きな疑問を抱いています。

どんなビジネスも常に競争環境下にあって、永続的に勝ち続けることを想定した場合、一番大事なことはマーケット価格の変動についていける原価構造の継続的改善だと思うのです。
原価削減をして、利益額を確保することは経営上非常に大事なことです。ただし、それだけでは大事な本質が欠けている気がするのです。マーケットは常に動いていて、競合がいます。マーケット価格というものは、よほど事業者が裏で談合しない限り、競争下に置いては徐々に下がっていきます。もし談合が成功しても、海外からプレイヤーが参入すれば、途端に値崩れします。そういうものです。

なかには、このまま売価を維持して、マーケット価格が下がり始めたらこちらも値段を下げよう、という人もいます。それは間違いではなく、負けない作戦なのかもしれませんが、基本的には先手を売って価格を下げた人に票が集まることが多いです。

すなわち、中長期の視点でビジネスの競争優位性を考えていくと、顧客の適正購入価格のさらに下をくぐるために原価をコントロールするのがビジネスの本質なのではないのか?と。そして、純粋に原価を下げて売価を下げることでより買いやすい環境を整備できるわけですから、今まで一人に売っていたものが二人売れる可能性が出てくるわけです。

シンプルに、
100円(売価) - 30円(原価) x 1名

ではなく、

80円(売価) - 30円(原価) x 2名

のほうが本質的にはそのビジネスを永続的に稼働させやすくし、マーケット上も優位に働きませんか?
というのがMyビジネスロジックです。でも、なかなかこの考えを共感してもらえないんですよね。
ということで。

かしこ。

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